Arcaがデビュー・アルバム『Xen』をMuteからリリース

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今年5月に突然の初来日を果たしたArcaが、デビュー・アルバム『Xen』をMute Recordsから11月3日にリリースする。ボーナス・トラックが追加収録された日本盤は10月29日にTraffic Inc.から先行リリースされる。現在リード・トラック「Thievery」の試聴が先行公開中だ。

Arcaはベネズエラ出身で現在はロンドンを拠点に活動するプロデューサーAlejandro Ghersiによるプロジェクトで、2012年に3枚のEP『Baron Libre』、『Stretch 1』、『Stretch 2』をUNOからリリース。翌2013年に自主リリースしたミックステープ『&&&&&』は、ヴィジュアル・アーティストJesse Kandaにより映像化され、MoMA現代美術館で上映された。そして同年Kanye Westがリリースした『Yeezus』にプロデューサーとして抜擢、これにより一躍注目を集めることとなった。FKA twigsのプロジェクトにもプロデューサーとして関わっており、『EP2』、そして先日リリースされたばかりのデビュー・アルバム『LP1』にも参加している。
本作についてMuteが発表した彼のコメントを含むプレス・リリースは以下のとおり。(以下、Traffic Inc.からのプレス・リリース引用)

『Xen』は変幻自在にその姿を変え、時には何もないようなところからスイートな味わいになったりと気まぐれなアルバムである。いわば、このアルバムはダンスしている時の、弾けるような肌をした少女のようなものである。ArcaはAlejandro Ghersiという名前を持つが、同様に『Xen』でもある。それは一種の超現代的な自己投影であり、一躍登場した人気プロデューサーがこれまでで最も信念を持って制作した、自分の為の作品だからである。彼は「これは僕がみんなに“これが僕自身だよ“と自信を持って言える初めての作品なんだ。僕は自分自身にフィルターをかけたくないから」と語る。

Arcaは昨今のエレクトロニック・ミュージック界隈において、最も興味をそそるミステリアスな存在である。彼のひとクセあり予測不能な作風が時には人々を驚かせ、時には感心させるなど、そのいつもながらのエイリアンっぷりがその所以である。まるで自分自身にグサッと刺さるような別の一面を表現しているかのよう。『Xen』は、Arcaのいままで隠れていた一面、自身の深層心理への回帰を具体化したもので、”オンラインのロールプレイングゲームと日記を書く事だけが日常”の子供のように、彼がたまに戻れる人格のひとつなのである。

「僕にいつも無邪気で好奇心旺盛な一面があったり、またそれを口に出して言えるってことはありがたいことだよ。またそれが、僕の創造性や優しさ、それに弱さに繋がってるってこともよく認識してるよ」。

この直感的で飾る事のない自己探求が、このアルバムのサウンドのディテールや曲作りのプロセスにまで及び、驚くまでにフレッシュな仕上がりとなった。「このアルバムを要約すれば、お互い極端に設定の異なる二つの要素があり、その二つの持つ緊張感というもの自体はかなり近い、というようなものだと思う。例えば、優しさと暴力、男らしさ、女らしさ。人によって何でも意味のあるものだね。誇大症と閉所恐怖症。この極端な二つというのは、その間に身を置き、うまくそれらに合わせてやろうというのは、普段味わう事のない状態に身を置く貴重な瞬間だと思う」。

若き24才のベネズエラ人アーティストは、2012年の『Baron Libre』、『Stretch1』それに『Stretch2』のEP3作品に始まり、その後話題となったFKA twigsの『EP2』(引き続き本年の『LP1』も参加)、翌年(2013年)には自身の超ホットなミックステープ「&&&&&」のリリースや、Kanye Westの 『Yeezus』をプロデュースした。

Arthur Russellから『First Thought, Best Thought』の哲学を学び、Arcaは現在、自身が掴んだ経験から「完璧な楽曲を作ろうとするよりも、自然と浮かんできた楽曲を書くよう自身のコンディションを整えるようにしており、その過程では自身の判断は控えるようにしている」と話す。この奔放で乱雑、複雑な感じ全てが『Xen』に、この数十年のエレクトロニック・ミュージックにおいて稀にみるクオリティ、多分にオーガニックな味わいを与えているのである。またArcaの音楽をより響かせる要素となっているのが、長年のビジュアル・コラボレーターであるJesse Kandaの存在であり、彼とは14才の時、あるオンライン・アーティスト・コミュニティで出会っている。それからはKandaによる強烈なスチール画像とミュージック・ビデオが『Stretch1』から使われてきており、大体において人の画像にデジタル加工を施したもので、最近ではArcaとともにオーディオ+ヴィジュアルのパフォーマンス『&&&&&』を2013年の10月、MoMA (ニューヨーク近代美術館)で行なった事が記憶に新しい。

「Jesseと僕は知合ってからもう相当長いからね」とArcaが説明する。「何か疑問点があったとして、僕が音楽面でその疑問点をそのままにしてると、Jesseがビジュアルでその答えを出してくるんだよね。Jesseがそのままその疑問に映像で答えを出してなかった時は、それは音楽で答えを出すべきだ、という事だと思うんだ」。

Kandaのジャケット作品史上、今回の『Xen』のビジュアルは一番の作品かもしれない。その加工された形の変化に関しては「それは作品自身の内部で起こってる事を反映したもの」であり、『Xen』は本質的に人間であり、特にファンタジーや危険性などを、その自由なエフェクトで具体化したしたものである。「『Xen』は生物であり、その存在は単に人を怖がらせる事にある。スポットライトを浴びた生物が、拒絶、魅力共に感じる男性と女性、それらが入り交じった人混みに向かっている、そのような感じ」。しかしながら『Xen』には一般的なものの側面もあり、例えば「Sad Bitch」、「Lonely Thug」それに 「Fish」等はそのキャラクターなどについて書かれている。それから「Tongue」に関しては、その(舌の持つ)柔軟性や極めて傷つき易い部分、アルバム全体のそう言った側面を示していそうである。

『Xen』は終始切れ味鋭く掴みどころのない仕上がりで、何か落ち着かずメタリックな風合いもありながらも暖かく、変化に富み、時には落ち着けたりする部分も併せ持つ。まさしく「Now You Know」から、聴く者は何か生き物に関わるようなサウンドを体感し、それも一度に様々な聴こえ方がして、何かモノが登っていくような、内側外側構わず破裂するようなものから、たまには認識可能なもの(フルートが強くアラームのようになったり)、他にもかろうじて想像出来るようなものを聴こえる。「Thievery」では、このカオスにカリビアン・ビートが加わり同時にシンセ・ボイスが頭上を廻りつづける。「Held Apart」は休息と強烈な感受性双方が共存し、震えるようなピアノの音色で光の中へ進んで行く。

『Xen』は挑戦的な作品である。それは絶え間ない変化と自分らしさ、痛みと喜び、愛と不完全さの連鎖なのである。そしてその旅は難しいけれども、作り手とリスナー双方、音楽的、心理学的ともに喜ぶべきものである。またそれは”解放”とも言える。「あなたが作品制作に取りかかり、その作品が作品自体の息吹を持ったならば、あなたは自分の作りたいものを作ろうとするより、そう言ったものを再び作りたくなる。円熟期になると、作品はそのあるべき方向へ作者を導いてくれる、僕はそういう方向に進みたいよ。その時には作品はひとりでに動き出し、僕がその後を追っていきたいよね」。

Arca – Xen

Tracklist:
01. Now You Know
02. Held Apart
03. Xen
04. Sad Bitch
05. Sisters
06. Slit Thru
07. Failed
08. Family Violence
09. Thievery
10. Lonely Thugg
11. Fish
12. Wound
13. Bullet Chained
14. Tongue
15. Promise
*日本盤にはボーナス・トラックが追加収録


Update(23:46): 本文に加筆修正。


 
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