Interview: Dorian Concept

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(photo by Dan Wilton/Red Bull Content Pool)

昨年10月12日から1ヶ月に渡って開催されたRed Bull Music Academy Tokyo。期間中は新宿や渋谷等の東京を象徴する各地の街角でさまざまな企画が日夜繰り広げられ、多くの人々に刺激を与えた。そのプログラムの目玉の一つとして、10月14日に開催されたDorian Conceptのライヴ・イベントでは、平日の夜であるにも関わらず、会場の渋谷WWWが当日券完売の満員でひしめき合っていた。
今回Public Rhythmでは、アルバム『Joined Ends』をリリースし、RBMAの講師として再び東京の地に降り立ったDorian ConceptことOliver Thomas Johnsonにインタビューを行い、RBMAのことやその人物像、アルバムの制作背景に迫った。

 
Interview: Dorian Concept

Public Rhythm(以下、PR): 日本には先週お着きになったそうですね。Sonar Tokyoへの出演などで、割とよく日本にはお越しになっていますが、今回は今までで一番長い滞在になるかと思います。お忙しいでしょうが、どこか観光には行かれましたか?

Dorian Concept: 実は、あんまり行ってないんだ。
Red Bull Music Academyでのスケジュールがけっこうタイトだから、朝からアカデミーにいて、夜遅くまでいる。
日本の食事は日本の文化の重要な一部だから、日本に滞在している間、日本食を体験するのは大切だと思っていた。ラッキーなことに、今回は、初めて美味しい天ぷらを食べる機会があったし、昨日はお客さんが6名しか入らないくらいの、小さなお店でお寿司を食べたよ。今回は和食を体験することができて良かったけど、次回はちゃんとした観光がもっとできるといいな。

PR: 日本の食べものでお気に入りは?

Dorian Concept: たくさんありすぎて全部は言えないよ。ウィーンに京都の家庭料理を出すお店があって、僕はそこで日本食を食べているから魚っぽいものよりも京料理っぽいものが好みだと思う。そのお店で美味しいのは丼もので、一番好きなのは「肉丼」。卵と玉ねぎが入ってる…

―牛丼でしょうか?牛肉が入っている?

Dorian Concept そう、牛肉!

―今日のカフェテリアのランチは牛丼だそうですよ。

Dorian Concept: おお、ナイス!
魚だとサバが好き。マリネされてすごく酸っぱくなっているやつが特に好き。プレスされたお米の上にサバが乗っている、ばってら寿司、というのかな。それは、よく食べる。それから稲荷も大好き。だから稲荷寿司も、きつねうどんも好き。お豆腐の皮を食材にするというのが、とてもユニークな発想だと思うんだ。あと、厚焼き卵とかの卵料理も好き。そして最後に、日本酒。日本酒の文化には今年になってハマってしまった。今まではそこまで詳しくなかったけど、今回は色々な種類の日本酒を試してみたよ。

―本当に色々な和食がお好きなんですね!

Dorian Concept: ヨーロッパ人にしては詳しいほうだと思う。いろいろ調べてるんだ。家で唐揚げを作ったこともある。下味を付けて、オーストリアのスーパーで7ユーロ(!)で買った片栗粉を使って…。日本の食材を売っているスーパーは1つしかないから、そこの商品は全部高いんだ。

PR: あなたにとって東京とは、どんなところですか?

Dorian Concept: 信じられないくらい大きな都市だけど、信じられないくらい小さな町みたいな雰囲気があるところ、かな。
Red Bullのアカデミーがある渋谷は、わき道を入ると、まるで村にいるような感じがする。けれど、渋谷交差点の方に向かって歩いて行くと、大勢の人の海に紛れ込んでしまう。圧倒されるような感じもあるけど、リラックスした感じもあって、街はすべて整備されている。コントラストのある都市だと思う。音楽に関しては、日本の人は鑑賞力がある人達だと思う。強い好奇心に基づいたカルチャーがあるね。僕が先日WWWでライヴをした時も、会場で販売していたCDを買ってくれた人が何人もいたり、マイク無しでもステージからクラウドに話しかけることができたりした。それは、日本のカルチャーが、音楽の真価をちゃんと理解しているからだと思う。

PR: 『Joined Ends』のリリース・アナウンスの中で、あなたは本作を自身の一つの音楽サイクルの終わりであり、新たなサイクルの始まりのように感じるとおっしゃっていました。今回トレードマークのmicroKORGを封印したり、自身のヴォーカルを積極的に用いたりと、制作方法にも色々と変化があったようですね。意図して、そのようなアプローチをとったのでしょうか?

Dorian Concept: もちろんそうだよ。自然にそうなった、というものも中にはあったけど、ほとんどが意図されたことだ。
例えば、ヴォーカルに関しては自然な成り行きなんだ。僕は、音楽に関するアイデアが浮かぶと、それを自分で歌ってメモしておく、という方法を以前から取っていてさ。シンセの音などを覚えておいて後で弾けるように、自分で歌って、プロジェクトファイルに保存していたんだ。今回のアルバムはアナログなサウンド、アコースティックなサウンドに重点を置いていたから、シンセの音よりも、自分の実際の声の方が、アルバムのサウンドに合うかなと思って。自分の声を、新たなテクスチャの1つとして扱うのも面白いよね。
一方で、制作方法に関しては意識して変えたと言えるよ。microKORGを扱った7年間はとても楽しい時間だったけど、microKORGから生まれる可能性というものは、ほぼ消耗されてしまったと思う。
自分を表現する新たな方法を模索するのは、自然な成り行きだったんだ。

PR: 最近手に入れた機材で、なにか気に入ったもの・面白いものはありましたか?

Dorian Concept: 今回のアルバムでは、エフェクト系の機材をほとんど使用していないけれど、最近手に入れた面白いものは、EventideのSPACEというリバーヴの機材かな。僕が最近使っているアナログの機材に加わった、とても素敵な機材だ。リバーヴはまるでバターのような役割をしてくれる。料理が美味しくなかったら、バターを加えれば良いみたいにね(笑)。

PR: デビュー・アルバム『When Planets Explode』から本作までの5年を振り返っていかがでしたか?

Dorian Concept: デビューアルバムはA&Rが関与したり、レーベルがアルバムに収録する曲を選曲したりしていたけれど、今回のアルバムは、最初から最後まで自分が作った作品のように感じられる。だから今作の方がリラックスできて、自信も付いたよ。リリースまでに時間がかかってしまったけど、無事発表することができて良かった。

―今作の方が、レーベルからの制限などなく自由にやれたということでしょうか?

Dorian Concept: そのとおり。レーベルとの契約が一切無い状態で、アルバムを完成できたのが良かった。前作は、アルバムを作る前からアルバム契約があったから、アーティストとしての活動が課せられたような感じがした。今回のアルバムではそういうことをしたくなかった。アーティストとして自由に制作したいと思ったから。僕は常に、事前に決められたことをやる、というような行為から自分を開放できたらいいと思っている。

PR: Kindred Spirits、Affine Records、Bonzzaj Recordings、そしてNinja Tuneと、これまで様々なレーベルを渡り歩いてきましたが、それらからリリースする作品の中で、それぞれ何か新しく挑戦してきたことなどはありますか?

Dorian Concept: そういうのは、一度もない。
色々な国のレーベルと一緒に仕事をすることが出来て嬉しく思うよ。2008年には、日本のレーベルと仕事をしたこともある。色々な国の人がどのように仕事をするのかを見るのは面白い。だけど、レーベルの人たちの多くは、僕が妥協しない人だということを既に理解している。レーベル契約の時も、最初から自分のスタンスを単刀直入・率直に伝えることが大切だと思う。そうすれば、あとは素敵な12インチを作るだけだから。だから、レーベルと無理な妥協をしたりとか、そういう変な問題は全く無かったよ。

PR: 今作のジャンルを表現するならば、なんと名づけますか?

Dorian Concept: 直接的で、インパクトの強い、感情に訴える音楽、かな。言葉を使わない、人間の言語。インパクトの強い、だけでいいかも。難しいね。

PR: 個人的にですが、Slugabed主宰のActivia BenzやPixelord主宰のHyperboloid、Brainfeeder所属のMy Dry Wet Messなどの音楽とも親和性が高いようにも感じますが、自身のDJセットなどでもプレイする機会はありますでしょうか。

Dorian Concept: そのレーベルの音楽はそんなに詳しくないんだ。My Dry Wet Messは昔から知っている。イタリア人のアーティストだよね。2007年、彼にブッキングされてローマでライヴをやった。Slugabedはツアーの最中に会ったことは何度かある。Brainfeederは昔から知っているし、大ファンだけど、その他のレーベルの音楽は聴いてみないと分からない。DJもあんまりやらないんだ。

―DJはしないんですか?

Dorian Concept: 時々遊びでやったりはする。地元ウィーンで週末、暇な時、どこかにパソコンを持って行ってDJすることはあるけど、僕はミックスが上手な方ではないし。僕はレコードを買うけど、DJには昔からあまり興味がなかった。

―もしB2Bをしたことがあれば、今までにプレイした中で一番楽しかった時の相棒を教えてください。

Dorian Concept: 地元の友達かな。今回のライヴにも参加した、バンドメンバーのThe CloniousとCID RIM。昔は彼らと一緒にウィーンでDJもしていたけれど、今はそれももうやらない。去年から、ウィーンでもDJはしていないんだ。一緒にDJしたら楽しいだろうな、という人はたくさんいるけど、僕はイベントでDJするよりも、ホームパーティでDJする方が好きだな。

PR: 2014年はあなたを始め、実に多くのプロデューサーがアルバムをリリースするという賑やかな年でした。ご自身のアルバム以外で気に入っている作品があれば教えてください。

Dorian Concept: 本当にクレイジーなくらい豊作だったよね。ちょっとよく考えないと。Teebsがアルバムをリリースしたのは嬉しかった。Teebsのアルバムはすごく良かった。それからLoneのアルバムもナイスだった。ヒップホップとハウスを融合させて、自らが音楽にはまっていった時の感じを表現した作風が、素敵だった。Flying Lotusのはまだ全部聴いていないんだけど、聴いた2曲からしても素晴らしい作品なのだろうと想像できる。僕が旅立つ直前に出たから、忙しくて全部聴く時間がなかったんだよね。家で、自分の時間があって、ゆっくりできるときにちゃんと聴きたいな。

PR: 今回のあなたのライヴはRBMAのプログラムにおける目玉の一つです。最近はトリオ編成でのライヴにも取り組んでいるそうですが、今回のTokyo Secret Strings Quartetとの共演について経緯や意図をお聞かせください。

Dorian Concept: 今回の共演は、RBMAが開催される1カ月半前くらいに企画された、自発的なものだったんだ。現地のミュージシャンと一緒に何かをやるというのが大切だった。色々な人に声をかけたけど、僕たちが希望していた何人かは都合がつかなかった。2012年に僕がCinematic OrchestraでSonar Tokyoに来たときに、日本の弦楽器演奏者達が、非常に正確で表現豊かな演奏をしていたことを思い出して、ライヴの一部を弦楽器を使ってやろうということになった。バイオリンが2名、ビオラが1名、チェロが1名から成る、現地のミュージシャン・カルテットになって、ライヴの構成もコントラストが効いて素敵なものになったよ。アルバムの曲はビートが無い、静かな曲が多かったから、その曲に弦楽器に貢献してもらって、アルバムの内容をライヴで再現できたのは素晴らしかったな。全てが上手く行って、とても嬉しいよ。

Dorian Concept - Performance

     (photo by Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool)

PR: 今回、あなたはライヴだけでなく、RBMAに参加するアーティスト達にレクチャーする「講師」という重要な役割も任されていますが、意気込みは?

Dorian Concept: 今年はスタジオ班を担当しているから、参加者と2週間、じっくり一緒に時間を過ごすことができる。レクチャーする講師としては3度目で、僕は卒業生でもある。一度アカデミーに参加すると、再びアカデミーに参加するのはできないんだ。だから、僕がこうしてアカデミーに何度も参加できるというのは、とても幸運なことだと思う。一日中アカデミーで仕事をして、疲れることは疲れるんだけど、仕事をしているような感覚ではないんだ。また今回もアカデミーに参加する機会がもらえて、本当に嬉しいよ。

―以前にも講師として参加したんですね!

Dorian Concept: そう。2008年はアカデミーの参加者として一度参加して、これまでに3回、マドリッド、ニューヨーク、そして東京で講師として参加しているよ。

PR: それでは最後に、RBMA卒業生として新入生、そして今後入学を目指すアーティスト達に一言お願いします。

Dorian Concept: 新入生は、レクチャーなどから本当にたくさんの事を毎日学んでいると思う。彼らには、とにかく楽しんで、と言いたい。もうアカデミーに入学しているのだから。アカデミーでは自然の成り行きで色々な事が起こるから、とにかく楽しんで、と言いたいね。
そして、入学を目指す人たちには、あきらめないで、と伝えたい。5回アカデミーを受けて落ちたけど、6回目で入学を許可された人がいることも、僕は知っている。僕自身、入学の申請を2回出して、2度目で入学が決まった。アカデミーを体験したいと思っている人は、その思いを持ち続けて頑張るといい。合格者を選出しているケルンの担当者達は、努力をした受験者やサウンドが進化している受験者というのをしっかりと覚えている。だからみんなには、あきらめずに挑戦を続けてほしい。

 
Interview & Text by Kurihara Akihiro


 
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