Interview: Squarepusher

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+Pin on PinterestShare on TumblrEmail this to someoneBuffer this pagePrint this pageShare on VKShare on RedditFlattr the authorDigg thisShare on LinkedInShare on YummlyShare on StumbleUpon

_TPS3505 のコピー
(Photo by TEPPEI)

今月15日に恵比寿ガーデンホールで行われたSquarepusher日本公演。ニュー・アルバム『Damogen Furies』を引っ提げ、サポートアクト・DJとして真鍋大度を迎えて行われた今回の公演は、Squarepusherの単独来日公演としては実に11年ぶりのものとなった。2枚のスクリーンを背に、ミニマル・デザインの宇宙服のような未来的な出で立ちで観衆の前に現れたTom Jenkinsonは、『Do You Know Squarepusher?』に収録の「Kill Robok」からライヴセットをスタート。硬質なサウンドと完全に同期したスクリーンの映像が一体となって観衆に突き刺さる。今回のライヴセットの軸となる『Damogen Furies』からは全曲を、アルバムと同じ曲順で披露。一曲一曲の持つ圧倒的な情報量の中に迸る、彼の「激情(Furies)」が、2枚の大きなスクリーン上、そして真っ白な衣装によって自らもスクリーンとなったTomの上を走り回るグリッチ・アートのような映像と、ウーファーを4基組み込んだというサウンドシステムによって増幅され、会場全体を飲み込んだ。
アンコールでは、マスクを取って再びステージに登場。暖かいオレンジ色の照明によって先ほどまでとはガラリと印象の変わったステージで「Iambic 9 Poetry」、「Tetra-sync」を生演奏で披露し、最後は6弦ベースの心地良いサスティンと歓声の中での幕切れとなった。
今回Public Rhythmでは、このライヴの前日である14日に、Tomにインタビューを行った。今回のアルバムや、現在のエレクトロニック・ミュージック・シーン、そして旧友Aphex Twinについての質問に、彼は、時に深く考え込むようにしながら真摯に向き合い、答えてくれた。

 

Interview: Squarepusher

Public Rhythm(以下PR): はじめまして、今日はよろしくお願いします。まず、今作『Damogen Furies』ですが、独自開発したソフトのみを用いてすべてワンテイク収録、編集無しで制作したという点は非常に興味深いです。あなたはこれまでにもエレクトリック・ベースの即興演奏や、全編エレクトロニクスの前作『ufabulum』、またロボットを用いた『Music for Robots』など、様々な制作手法をとってこられましたが、今回このような方法を取るに至った経緯や考えを教えて下さい。

Squarepusher: 今作の楽曲というのはそもそも、ライヴで演奏したら面白く、興味深くなるのではないか、と思う楽曲を作りたくて作曲をした。スタジオでレコーディングする際にワンテイクでやった訳は…ライヴで実際に演奏する時はやり直しがきかないわけだ。同じように、今回の曲は、ライヴに向けて制作したものなので、必然的にレコーディングもワンテイクでおこなったということさ。

PR: ライヴ向けに制作した曲をアルバムとしてパッケージングした理由は?

Squarepusher: 良い質問だね。一つの理由としては、ライヴを見に来たお客さんが、やはり曲を前もって知っていたほうがよりライヴが楽しめるというのがある。なので、自分としても、来る人がより楽しめるという意味で、このアルバムを先に出して、その曲を聞いてもらった上で、ライヴに来た時に、更に大きい音だという環境で聞いてもらうことで、より楽しめるのではないか、という理由がひとつある。

PR: 『Damogen Furies』では前作『Ufabulum』のサウンドを継承する部分もありながら、更に荒々しい音とめまぐるしい展開が強調され、「Furies(怒り、感情の爆発)」が表現されていると思います。その「Furies」はどこに向かっている感情なのでしょう?

Squarepusher: 「Furies」という言葉には「怒り」だけではなく深い意味があり、ギリシャ神話に登場する中で、「怒り」や「復讐」だけではなく、もっと深く、もっと幅広い意味での感情を表現している。これに関して深くは話さないが、そういうところで、この言葉が面白いと思い、今作のタイトルに使っている。
今作だが、今蔓延るエレクトロニック・ミュージックには中庸なものが多く、それに対する僕なりの抗議、抵抗というものをこのアルバムは示しているんだよ。今この中庸な、薄味のエレクトロニック・ミュージックは……まあ中には楽しんでいる人もいるけれど、聴いていて非常に苦痛、不快だと思っていて、そういった保守化しているエレクトロニック・ミュージックに対する僕なりの、いわゆる抵抗であって、もっと実験的なものができるんだ、という精神がこの先も生き延びるための作品なのさ。

PR: EDMは嫌い?

Squarepusher: というより、ほとんど聴いたことがない。
音楽をそこまでたくさん聴いているわけではないけど、少し聴いた感じだと、そこにものすごく大きなアイデアがあって、発している音楽というよりは、新しい機材のデモ音源だったり、スニーカー(Sneaker)か何かを売るためのCMソングにしか聞こえないな、僕には。

…スニーカー。イギリス英語だとスニーカーのことを「トレーナー」と言うのだけど、日本だと「スニーカー」だよね。「Sneak」って「忍び足」って意味もあるから……なるほど、そういうことなのか。(納得した様子で)

PR: (笑) そういえばAphex TwinもEDMについて(Rolling Stoneの)インタビューを受けた際に少し話していました。グラストンベリーでSkrillexか誰だったかのライヴを見たそうなんですが、彼は結局あの音楽がどういうものなのかよくわからなかったそうです。彼も去年久しぶりにアルバムを出したわけですけれど、旧友として、彼がああして曲を発表していることについてどう思いますか?

Squarepusher: リチャード、リチャードは……(しばらく沈黙)
リチャードのアプローチと僕のアプローチに違いを感じるのは、おそらくリチャードの作品を聴いていると、いろいろな既存の機材を試して、いろいろな楽曲を作っていて、既存の機材を片っ端からリストアップして、それぞれの可能性を音楽で表現していると思うが、僕は逆に、既存の機材に依存することからなるべく距離を置きたいと思っている。
自分が必要としている音、音色それらをすべて満たす最小限のものを自分自身の手で開発して、つくる、生み出すことで、既存の機材に頼った大きなシステムを作ることなく、音楽を作りたいと考えているから、そこに大きな差を感じるね。
あと実際に彼の音楽についてだけど……人の音楽については、よほど強く思わない限りコメントはしないことにしているので、差し控えるよ。

今のエレクトロニック・ミュージック・シーンにおいての傾向としてあるのが、一つの音楽を作った時に、どういう機材で作ったか、ということばかりが注目され、実際音楽的な内容が蔑ろにされているという気持ちが強い。どのシンセが一番いい音を出すか、どのドラムマシンが一番いいか、ということばかりが重要視されている。何の機材、何の楽器を使うかということがいい音楽を作るための鍵だと思っている人が多いが、そうではなく、自分としては、いい音楽を作るのは、何よりもその人の考え、思考、脳であるというのが第一である、ということが大事。機材というのは自分の中で思いついた、思い描いたアイデアを形にするための道具でしかないので、僕はある機材を崇拝するようなことはしないし、それはあくまでも道具でしかない。楽器にこだわることはネガティヴなことでしかないと自分は思う、楽器よりもアイデアのほうが大事であり、アイデアを形にするのが楽器、機材である。
それよりも、今の傾向として、どの機材が最新で、ベストな音、イケてるサウンドを出すかということにばかり重きが置かれているというのは、むしろ凄く物質主義的な姿勢であって、自分としては賛同できない。機材がないといい音が出ないという考え自体は非常に馬鹿げていると思う。いいアイデアさえあれば、どんな機材を使おうと、機材というのは大きな問題ではない。そういう考えだと、結局お金、僕はもともとお金もそんなになく機材もないところから、音楽を作り始めた。機材や楽器はなくても、アイデアだけはたくさんあった。想像力をふくらませて、自分の身の回りにあるものを使って、非常に原始的であったり、すぐ身の回りにあるもので、音を作って、想像力を働かせて音楽を作っていった。そういったことを、他の人達にもぜひ、音楽ってそうやって作るものなんだよ、ということを他の人にも教えたい、そういった考え方を植え付けたい。大事なのはあくまでも機材や楽器ではなく、その人の発想であって、お金がなくて高価な機材とか楽器が買えない人は音楽を作れないかといえばそうではなく、アイデアさえあれば作れるんだよ、ということを伝えたい。

PR: オーディエンスを意識するあまりに予定調和なフォーマットで構成された「曲」というよりも「商品」のようになってしまっている音楽に対して抵抗がある?

Squarepusher: そういうことかな。「こういう音を出せば、こういう反応が返ってくる」というものを作る、ということをやってしまうと、凄く「創造する」という部分において制限ができてしまう。自分としては、いろいろな新しいことを試して実験することによって何が出てくるか、というものを見てみたいと思ってやっている。予測できるものを作るのではなく、予測できないものを作ることに面白みがある。予測できるものを作る、というのはつまり、売れることを前提で作ることだから、お金が入るから音楽を作り続けられる、というのがもちろんあって、売りたいがためにそうしているというのもわかるが、自分としては、ある程度ちゃんと音楽を売り続けながら、実験的なもの、新しいものをどんどん作っていきたいなと思っている。

PR: 芸術性を保ちながらも、ミュージシャンとして活動を続けられるバランスに気をつけているということでしょうか?

Squarepusher: この場合、売れるというよりも、ものすごくお金を儲けたいというわけではなく、結局自分が作品が出せなくなれば、自分の主張も全くできなくなる。存在が全くなくなってしまえば、いくら主張してもやっていけないので、それが出来るだけの土台は必要。決して大成功したいというわけではないんだ。

PR: なるほど…残念なことにもうインタビューの時間がなくなってきてしまいました…最後に、明日のライヴについて教えて下さい。
そういえば、以前『Music For Robots』で一緒に仕事をした真鍋大度さんも明日DJで出演するそうですが、面識は?何か話してみたいことはありますか?例えばテクノロジーの話とか。

Squarepusher: そうそう、真鍋さんには「Sad Robot Go Funny」のビデオを撮ってもらったけど、ネットのやりとりで作業をしたから面識はないんだ。音楽とかだったら「こういう作品を作りたい」「こういうライヴがやりたい」というのはあるが、人との会話はどういうふうに会話が流れるか、というのは前もって決まるものではないし、馬が合うかどうか、というのもあるし、ライヴの準備でどれだけ自分がバタバタしているかというのもあるので、一概に「こういうことを話したい」というのは言えないな。けれど、会うのはすごく楽しみだよ。
(ライヴは)これまで話したように、「こういうライヴだから、こういうのを期待してね」、と僕が前もって言ってしまうのではなく、みんながオープンな気持ちで見に来てくれて、体感してくれればそれでいいな、と思っている。

Squarepusher – Sad Robot Go Funny

 

Interview by Inoue Yuuki, Kanou Kaoru
Text by Inoue Yuuki

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+Pin on PinterestShare on TumblrEmail this to someoneBuffer this pagePrint this pageShare on VKShare on RedditFlattr the authorDigg thisShare on LinkedInShare on YummlyShare on StumbleUpon