Interview: Noah

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photobyrepeat_pattern(Photo by Repeat Pattern)

先日〈flau〉からファースト・アルバム『Sivutie』をリリースし、今週にはBobby & Blumm、そしてJulia Holterの来日公演にも参加する北海道出身・現名古屋在住の女性アーティストNoah。この記事は今年9月にイギリスのミュージック/カルチャー・メディアThe 405に掲載された彼女のインタビューの日本語訳版です。また、今回はこのインタビュー公開にあわせて〈Ninja Tune〉所属のデュオSkalpelのメンバーMarcin CichyによるプロジェクトMeeting By Chanceが手がけたリミックスもフリー・ダウンロードで公開中です。

 

Interview: Noah
(This article was first published by The 405)

– 音楽を始めたきっかけについて教えてください。子供のころからの夢でしたか?

Noah: 姉がピアノを習っていて、その弾いてる姿を見ていて自然とピアノに興味をもちました(たぶん2歳くらいでしたが、今だになんとなくその風景は覚えています)。また物心ついた時から好きな音楽を手に入れようとか自分に取り入れなくては、という使命感みたいなものがありました。例えば、気になった曲は忘れないように必死に頭で記憶するとか(楽譜を書いたり、録音・録画するという方法をまだ知らなかったため)。今から思うと、そういった行動は誰に言われるでもなく自然とやっていましたし、現在私が作曲をしていることもごくごく自然な流れなんだと思います。

– 〈flau〉のオーナーからお聞きしたのですが、あなたが初めに送った音源は見送られたそうですね。どう思われましたか?そして、〈flau〉からアルバムをリリースするまでにどのように改良、パワーアップされましたか?

Noah: 本当は送る前から結果は分かっていて、それでもどこまで可能性を見出してもらえるのか試したくて送りました。当時の精一杯を。
レーベルから届いたお返事に「またデモを送ってください」と書いてあったので、0%ではないと前向きに捉え、また制作に取り組みました。
今回のアルバム・リリースまでには多くの尊敬するアーティストからインスピレーションをもらいました。彼らの存在がなければ確実にこのアルバムも今の私も存在し得ません。例えば、Newworldaquarium、SELA.、Readymade F.C.、ausなど。技術面だけでなく世界観や、作品作りに取り組む姿勢など、幅広く多方面から影響を受けています。そういうアーティスト達の洗練された作品に触れることによって近年だんだんと自分の選ぶ音、作る音が良い意味で変わってきているように感じています。

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(Photo by Takehito Goto)

– アルバムのコンセプトとしては「夢の中の女の子の不思議な世界」といった感じでしょうか。『Sivutie』のコンセプトがどのように出来上がったのか教えてください。特に、そのタイトルにした理由を教えてください。

Noah: アルバムの主人公は実は男の子です。ある冬の夜、私は家の2階のベランダから外を眺めていました。とても不思議な夜でした。その日はとても深い霧が街全体を覆っていて辺り一面真っ白でした。その中でオレンジの街灯の光だけがぼんやりと浮いていて、2階のベランダから見ているとまるで夜の海に浮かんでいるようなとても不思議な感覚に陥りました。新しい土地(愛知県)に引っ越してきて何年も経っているけど、あれほど不気味で神秘的な光景を目にするのは全く初めてのことでした。
しばらくその風景を眺めた後、iPhoneとコートを取りに私は一旦部屋に戻り、そしてまたベランダで3,40分近くその深くて暗い霧の世界をじっと見て過ごしました。その時聴いていたのが、当時作りかけだったアルバムのタイトル曲、”sivutie”です。霧を眺めながら曲を聞いていると、北欧なのか、ヨーロッパのどこかの路地裏でひとり暮らす少年の姿が頭に浮かびました。ピンときてさらにその世界を想像していました。少年はなにか暗い過去を持ちながらも一人静かに夜を過ごしていました。私はその姿に、か弱さと逞しさ、相反するものを同時に感じました。また、お人形のように淡々とした表情の裏側でどんなことを思っているのか、とても謎めいていました。
私はこの霧の夜が過ぎた後でも少年の暮らす路地裏の世界をまた思い出せるように、この世界を音楽にしたいと思いました。そうしてアルバムの本格的な制作がスタートしていきました。
昔作りかけていた古い曲も合わせて全15曲ありますが、これらは、路地裏の世界の風景や、物語の背景など色々な形でこのコンセプトに関連するものになっていきました。

– 『Sivutie』の音楽にもっとも影響を与えているものはなんですか?

Noah: Newworldaquariumさんの『The Dead Bears』というアルバムだと思います。夜は昔から好きだけど、このアルバムは私に怪しげな夜の美しさや、新たな魅力を教えてくれました。楽曲の一つ一つが夜の怪しげでロマンチックな色彩を放っているように感じます。個性と重みのある作りこまれた音の一つひとつは、その味わい深い世界観や思想のようなものを、私に静かに、強烈に語りかけてくるようです。中でも「The Force」は私がこれまでに一番聞いた曲の一つです。緊張感のある和音で作られたフレーズがおよそ10分間繰り返される楽曲なのですが、時間をかけて徐々にその和音の聞こえかたが変化していき、終盤には希望に満ちていくような感じになります。いつもその辺で幸せな気持になって泣いちゃうんですが。
これは勝手な自分の解釈ですが、その夜の暗闇のような「恐さ、怪しさだけでは終わらない」、という彼の音楽から感じた理念を私のアルバム『Sivutie』でも受け継いでいて、アルバムの随所に希望を感じられる部分を入れたつもりです。
私の音楽に関して言えば、そこに暗いものを描く理由があるんだと思います。「白」を描くときにキャンバスを白く塗りつぶすよりも、黒のキャンバスに小さな白い点を一つ描く方が、その白をより深く感じられる、という考えです。

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(Photo by Takehito Goto)

– Noahさんの音楽は抽象的かつ概念的ですが……一度まだ生まれる前の赤ん坊を思い浮かべて曲をかいたことがあると言っていましたよね。そのようなものの考え方は作り方にどう影響していますか?

Noah: 曲作りのはじめはいつも思いつきです。音や和音を作ったり鳴らしたりしているうちに、自然と色や風景がぼんやりと頭のなかに浮かんできます。それをもとにさらに曲を作り進めていきます。私の曲は、作る過程で「聴くもの」と「見るもの(主に頭のなかで想像するもの)」両方が大きく影響し合っている場合が多いと思います。また、タイトルや歌詞などはなるべく抽象的なものにしています。たとえ音楽に思想やメッセージを込めたとしてもそれを押し付けることはしたくないというのが基本的にあります。リスナーやオーディエンスにはなるべく色んなことを自由に想像してもらいたいと思っています。
私にとってコンセプトは、作品の完成度や説得力を高めるものだと思います。作品の軸になるものがあることによって必要なもの、不要なものの見分けがよりスムーズにつくようになり、取捨選択するのに役立ちます。

– 以前Sela.とコラボされていましたが、お互いアーティストとして成長する機会になったと思われますか?

Noah: Sela.とは『Split EP』をきっかけに交流がスタートして、今ではなんでも話せるかけがえのない友人のひとりです。
彼の音楽と出会わなければ、私は『Sivutie』を世の中に発表することは出来なかったという確信があるほど大きな成長のきっかけでした。
これまで彼は音楽的に刺激をくれる存在であっただけでなく、時には私の悩みを聞いて励ましてくれたり精神的にも大きな支えになってくれていました。知り合ったころには彼はすでに自分の音楽スタイルを確立していました。彼は好き嫌いがはっきりしていて、常に自分の好きなものにアンテナを張っています。最近これを聞いてるとかそういうものをよく教えてくれて面白いです。
私はそんな彼が発信するものにとても興味があります。自分の確固たるスタイルを持ちつつも、彼の発信する音楽にはいつも変化や新鮮なものを感じます。彼が私のことをどう思っているのかは分かりませんが、これかも彼と作品を作ることは続くので彼にとって私がマイナスの存在ではないということは言えるのではないでしょうか。

– 千歳で育ち、現在名古屋に住まわれていますが、自分のいる環境が作る音楽に影響しますか?

Noah: とてもあると思います。人の音楽を聴いていてそう思うこともよくあります。都会に住む人が、都会生活にフィットする曲を書けたり、スローライフを楽しんでる人の音楽が、信じられないほどゆったりとした温かな時間を作りだしていたり。自分の場合は広大な自然に囲まれたのどかな土地で育ったことが、大きく影響していると思います。その土地の良さは離れて初めて気づく部分が多く、当時のことを思い出しながら作った曲には、その土地や生活に対する郷愁の念が出ていると思います。現在は名古屋に住んでいますが、またここを離れた時に初めて、ここの良さに気づいたり、もしその思いが強ければそれが曲に反映されることも十分あると思います。

– 『Sivutie』のプロモーション・ツアー中ですが、複雑かつ繊細なサウンドを持つアルバムをどのようにライヴのサウンドで表現されていますか?気を付けていることはありますか?

Noah: 世界観を保ちつつも、なるべくシンプルなセットにしています。ライヴなのでアルバムの音源通りである必要はないと思っています。『Sivutie』の世界観を表現する上で一番重要なのは自分自身の声や、声で表現する空気感だと思うので、ライヴではそこをメインに打ち出しています。誰よりも自分自身がライヴを楽しむことを忘れないように心がけています。

Interview: by Robert Whitfield
Translation by Aya Nelson

 

Free Download: Noah – Sivutie (Meeting By Chance Remix)

Noahが出演する近日開催の公演情報はこちらから。
Bobby And Blumm Japan Tour 2015
flau presents: Julia Holter Japan Tour 2015

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