Interview: The fin.

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 神戸出身で現在は東京を拠点に活動する男性4人組のインディーロック・バンドThe fin.。
その活動初期から海外を視野に入れていた彼らが2014年にリリースしたファースト・アルバム『Days With Uncertainty』は、その数年前にアメリカを中心に巻き起こったチルウェイヴ・ムーブメントや海外の先端のインディ・バンドと共鳴するサウンドに注目が集まり、彼ら自身も驚く程多くの人に受け入れられた。
彼らが3月16日にリリースする新作EP『Through The Deep』は、持ち前の空間を意識した繊細なサウンド・プロダクションとポップネス、そしてアルバムのリリース後におこなった海外ツアーを経てより強く意識するようになったというリズムへのこだわりが反映された作品。チルウェイヴ・ムーブメントは、表層だけを繕った作品も数多く生んだが、シーンの中心的存在だったWild NothingやNeon Indian、Toro Y Moiらが、ムーブメント以降にR&Bやソウルにアプローチした良作を作り上げ、それぞれのオリジナリティをより発露していったように、The fin.からも一過性ではないバンドとしての確かなポテンシャルを感じさせられる。
EPのリリース直前におこなわれた今回のインタビューでは、新作『Through The Deep』の話題は勿論のこと、アメリカと台湾での公演、日本と海外の差、そして次回作となるセカンド・アルバムにまで話が及んだ。

 

 

Interview: The fin.

インタビュアー: 天井潤之介
文: 加納薫


-まずは今回の新しいEP『Through The Deep』の話をうかがう前に、前回のアルバム『Days With Uncertainty』以降の話について聞かせてください。The fin.は去年、初めての海外ツアーを経験されたということですけど、現地での受け止められ方はどういうものだったのでしょうか。

Yuto: まず、アメリカは海外初ライヴだったので、最初どうなるかなって感じだったんですけれど……まあ、そのツアーがすごい良くて。インターネットで聴いて好きになって来てくれた人もいました。でも向こうって、やっぱり元々パブに日常的にライヴを見に来てる人がいて。その人らがすごい盛り上がってくれたのが、すごく嬉しかったですね。
向こうは音楽の裾野が広いっていうか、普通の人が音楽に近いって感覚があって。日本やとライヴハウスにいっつも行ってる人しか来ないって感じがあるじゃないですか。向こうはそういう感じが本当になくて、ほんま居酒屋行くぐらいのノリで居て。やってる音楽がよかったら踊って……みたいな。そこの近さが全然違うってのが大きかったですね。

-前にも何かのインタヴューで、食事やお酒を呑んでる傍らで聴いてもらう感覚が理想的、みたいな話をされていましたよね。向こうの感覚はその理想に近いものだった?

Yuto: そうですね。その場所を共有するっていうか……

Ryosuke: ほんとに呑んだり、人と会ったりっていう。

Yuto: みんな総合的にそれを楽しんでる。だから変な緊張感が無くてリラックスしてる。

-お客さんというのは、普段どんな音楽を聴いている感じの層だったんでしょうね?

Yuto: アメリカはジャパン・ナイトってツアーがあって、日本の音楽が好きって人と、全然日本の音楽知らんけどお前らは最高って2パターンに分かれてて。日本の音楽はあんまり聴かないけど、俺らは聴いてるとはよく言われる。英語でやってるっていうのがすごい大きいと思うんですよね。そういう人がいるのは、俺らがワールドワイドにやっていくのに必要だったから良かったかな。

-タイや台湾のお客はどうでしたか?

Yuto: インディぽかったよね。

Taguchi: うんうん、めっちゃインディ。

Ryosuke: タイは地元のバンドと一緒にフェスに出たんです。

Yuto: 向こうのバンドマンと話してても、好きな音楽がインディとかインディ・ロックとか、(日本のインディ好き) がみんな知ってるようなの聴いてて。日本のバンドより海外っぽい。もっと拓けてたよね。人の感じも香港とタイは欧米のそれに近いというか。でも、タイは個が濃い。客の感じも。

-The fin.にとって海外での活動はデビューした当初から意識にあったところだと思いますが、いざ海外という場に自分たちの音楽を晒してみて、あらためて自分たちの音楽に対する発見や気付きみたいなものはありましたか?

Yuto: やっぱり向こうのバンドや音楽を聴いてる人たちはすごいリズムを大切にするっていうのがあって。そこにすごい自分が刺激を受けて、リズムがより好きになったっというのが大きくて。今回のEPや次のセカンド・アルバムを作るにあたってそれが自分の中で大きな変化でしたね。向こうの人はリズムをすごい大事にする。リズムの優先順位が上みたいな。それがいい経験やったし、そのことにバンドで気づけたのがすごい良かったかなって。

-日本だとまず「あ、英語で歌ってる」ってところに引っかかっちゃったりしますもんね。

Taguchi: リズムの違いやと思うんですけど、日本と向こうのバンドの違いって。みんなほんま見落としがちやけどそれにちょっと気づけたよね。

-じゃあ、今回の『Through The Deep』の制作は、そうした『Days With Uncertainty』以降の経験を反映させながら始まったという感じなんでしょうか。

Yuto: そうですね。でも殆どの曲はもう一年くらい前で。ファーストをリリースしたすぐ後に作った曲なんです。アメリカ・ツアーの前やったりするんですけど。でも、「Through The Deep」と「Heat」は、夏頃に作った曲なので、ファースト・アルバム以降の経験を踏まえた曲になっていると思います。その2曲はセカンド・アルバムの感じにもつながっていると思います。

-『Days With Uncertainty』のリリース時のインタヴューでは、もうセカンド・アルバムに向けて動き出している、みたいな話をされてましたよね。なので、次の作品はてっきりアルバムだろうと思っていたのですが、今回、EPのリリースになったのには何か理由があったのでしょうか。

Yuto: 俺らも最初はセカンドを出すつもりで、あんまりEPっていうのは考えてなくて。でも、イギリスで活動し始めたら、イギリスと日本の活動の間に進行のギャップがあって。で、セカンド出すってなった時に、ちょっとタイミングが違うなって。ファースト出してすぐセカンドっていくと、日本が先に行き過ぎる。なかなか世界ってそういうペースで動いてなくて。
このアルバムに3年とか4年とかかけてるんで。それでいっちゃうとバンドの消耗が速いというか。もっと大事にしたかったんで。
でも、日本ってそのペースで進んでるじゃないですか。で、やっぱりEPを出したほうがいいかなってみんな思って。自分の中でセカンドの構想から外れている曲もあったので、アウトテイク的な意味でもEPを出そうと。

-リリースのペースが速すぎると、リスナー側の消費のスピードも速くなってしまう。

Yuto: そうですね。でも、日本ってすごい速いじゃないですか。1年に1回アルバムを出して。それって俺はアーティストには良くないなって思ってて。あまり急いで作っても……成長しないまま次の作品を出してしまうのは、良くないというか。
海外のバンドって4枚出しても、その4枚にめちゃくちゃ詰まってるじゃないですか。でも、日本のバンドってその間に8枚ぐらい出してて。薄いっていうか。それはあんまり俺は好きじゃなくて。じっくりやりたいなって。

-やっぱり日本の音楽業界ってサイクルが速いなって感じますか?

Yuto: 自分らがこうやって出てきてから速いなと思って。例えば自分らとおんなしように出てきたバンドがもうやってなかったりとか。人気になったようなバンドでも止まっちゃったりとか。
海外のバンドは大体が世界中をツアーで回るじゃないですか。だからその人口のなかでやりくりしてるけど、日本だけで活動するなら、もっと速くやっていかないと……
でもそれはアーティストのためには良くないのかなって。

The fin. – Anchorless Ship

-ちなみに、今回のEPで「Anchorless Ship」をリード曲に選んだ理由ってあったりしますか?

Yuto: あれは最初に出来た曲の中で一番ライヴで板についてた曲なんで。俺的にはリード曲は「Through The Deep」やと思ってるんですけどね。

-「Through The Deep」がThe fin.の新しいモードを象徴しているということですね。

Yuto: そうですね。

The fin. – Through The Deep

-『Days With Uncertainty』が出て、ガッと注目が高まって環境も大きく変わったと思うんですけど、そこには少し戸惑いもあったんですか?

Yuto: そうですね。こっちに来てからの一年は初めてのことばかりで……まあ、すごい楽しかったんですけど、わからないこと、実態が見えていなかったところもあったなって。結構振り回されてた面もあったと思うんですよ。それが去年落ち着いて考えることができて、自分のやりたいこともちゃんとしてきて地に足ついたっていうか、ふわふわしたところがあんまりなくなってきた。それが大きかったですね。

-じゃあ、今回の『Through The Deep』は次に出るアルバムを見据えて……という位置付けなんですね。

Yuto: そうですね。ファーストを出して1個の作品を完成させたんでちょっと自由になれたっていうか、自分の中でやってみたいことや、気軽に自由に作れた曲が入ってるんで。セカンドに向かっていくまでの過程って感じで聴いてくれたらわかりやすいかな。

-みなさんもそんな感じで制作されたのでしょうか。

Ryosuke: 日本と海外ってことについてみんなで共有して出すってなったので、多分リリースに対して思ってることは近いと思う。

Yuto: うん。

-なるほど。で、今回の『Through The Deep』の中でも気になったのが、「Divers」とタイトル曲の「Through The Deep」なんですね。とくに低音の太さやキックの強さが増した印象を受けたのですが、音作りのポイントだったり意識したところは具体的にどういった部分だったのでしょうか?

Yuto: 音の感触みたいなところは自分の中で大事なんで。大学生位の時からそういうの大事にしようって思い始めて、それが最近更に強くなったっていうか。海外に行くと自分の中にインスピレーションがすごい多くて。全然見たことない景色とか人とか、言語であったりとか。あと自分が知らなかった感情とか。そういうのが自分の全部の感覚に入ってきて。そういうのを全部音の感触、音の感じで表現したいっていうのがより強くなってきてるんで。なるべく自分が感じたものをそのまま出せるようにサウンドを作っていくっていうのがすごいありましたね。あと低音の質感とかもすごい拘るようになって。まだ最初のEPでは出来てなかったところが自分らでも表現できるようになってきたのかなって。

-リズムや低音を意識するきっかけになったアーティストやレコードは具体的にありますか?

Yuto: そういうのを普段聴いてるっていうこともあるんですけれど、自分にとって海外に行ったりとかっていう普通に生きてる経験が重要で。曲作ってる時に自分の中のメモリーから引っ張りだして音にしていくって作業が多いです。いわばツアーは、アウトプットでもありインプットでもあるっていう。
あと、一つの要因としては、クラブに行くっていうのがすごいあります。一時テクノのイベントばっかり行ってて。最近テクノってオーガニックなサウンドになってきてるっていうか、キックも全然ツルツルした音じゃなくてザラッとしたキックで。

-ロウな感じの?

Yuto: そうですね。その感じがすごいいいなって思ったりもしてて。やっぱアートとか見ててもそのザラッとした感じに共感するところが多くて。結構そういう音の方向性になってきてるんかなっていうのは思います。

-リズムや低音という部分で音作りのキーになっていると思うんですがリズム隊のお二人はどうですか。

Taguchi: 音に関していえば、レコーディングする段階で、結構機材の面でも良くなったし、指で弾いたりもしてみました。Yutoの出した感じをイメージして。リズムに関しては、デモはYutoが家でドラムパッドで作ったリズムパターンが多いんですけど、よりリズム的なやり方、ドラムパターンが増えたんかなって。

Yuto: ちょっと複雑化したよね。

Taguchi: うん。

Yuto: 普段音楽聴いててもそのモードに近いものを好むようになってきたし。

-ドラムはどうですか。

Nakazawa: そうですね、今Taguchiが言ったような話もありつつ、レコーディングの時に限らないんですけど、普段から考えているのはしっかり音を出すっていうことですかね。ちゃんといいポイントで叩いて、いい音出して……っていうのはいつも考えてます。

-それこそ最初の作品の『Glowing Red On The Shore』の頃は「ゆるく踊ってもらいたい」みたいな感覚だったわけですけど、最近はもっとダンス・ミュージック的な志向が増してるってことでしょうか?

Yuto: リズムに対してはそういうのありますね。

-クラブの話題が出ましたが、ちなみにDJもやったりしてるんですか?

Yuto: やったことないんです。最近すげー頼まれるんですけど、やったことないからやらないっていう。 (笑) まあ、いつか練習してやろっかなって思うんですけどね。

-レコードはいっぱい買う方ですか?

Yuto: レコードは昔はすごい買ってたんですけど、最近全然買ってなくて……物が要らなくなって。

-ミニマリストですか (笑)

Yuto: なんか物をあんまり増やしたくなくなっちゃって。 (笑)

-「Divers」を聴いた時、ふとJamie xxの「Loud Places」を思い起こしたんですね。ゴリゴリなダンス・サウンドってわけではなく、例えばUKベースやガラージを通過した感覚というか。そのあたりに今回の『Through The Deep』の音作りのリファレンスがあるのかな、と。

Yuto: EDM的なダンスじゃなくて、もっとそういう、まあJamie xx。ああいうダンス・ミュージックの方が俺は好きなんですよね。だから、そういう方向に行ってるのかなって。

-ハウスとか。

Yuto: そうですね、ハウスすごい好きなんで。ハウス/テクノは一時めっちゃハマりましたね。

-今回はミックスもレコーディングも引き続きYutoさんがやられているということですが、音数をなるべく増やさず、音の余白だったり空間を活かしたプロダクションという方向性は、これまでと変わらず意識を置いているポイントでしょうか?

Yuto: そうですね。そこは自分がやりたいとこなんでやってるんですけど、でもそこの使い方も段々変わってきたっていうか。まだ全然やれてないところもやりたいところもあるし。音の入れ方もちょっと変わってきたかなって。

-その変化とは具体的にはどんなところでしょうか。

Yuto: ファーストの時はどっちかっていうとあんまり音を入れたくないって感じだったんですけど、最近はもっとそこに対して自由になれてると思います。もっと有効なものを入れていったり、楽器の楽器としての態度を操れるようになったっていうか。例えば1曲作るときに楽器をバラして作る曲と、楽器を楽曲として弾かせる曲。そういう操り方が自分の中で出来てきたっていうか、エレクトロニカ的な脳みそとフィジカルな脳みその両方を使えるようになってきたのかなって思います。

-今回のEPはその2パターンの曲が入っているということですか?

Yuto: そうですね。自分の中でだんだん実験してるって段階ですね。

-The fin.の場合、楽器の弾き方から音の選び方、そして録音、ミックス……と、そのあたりの意識が他のバンドと比べて頭抜けてると思うんですけど、そのこだわりっていうのはどういったところからくるものなのでしょうか?

Yuto: 好きなんじゃないですかね、めっちゃサウンド聴いてるんで。サウンド、リズム……まあ、全部聴いてるんですけど、多分好きのレベルが違うんかな。自分でそっから感じるものが多いんで、自分でやる時もそこが大事になってくる。

-その音へのこだわりっていうのは昔からだったのでしょうか、それともThe fin.を始めたときから?

Yuto: ほんとにThe fin.を始めてからそういうことを考えるようになりましたね。色んなアートとか見たりしていって、そういう部分が自分の中に芽生えてきたっていうか。それよりもっと昔は曲を作るっていう感じで。でも1回自由になっていくと、曲の展開も自由にやれて、ほんまに何でもできるなっていう。

-他のメンバーもそのあたりはいかがですか? 楽器の弾き方、鳴らし方について。

Yuto: それはすごい言うよね。レコーディングするときも別に弾けててももっとこう弾いてとか。

Ryosuke: もっと自由でとかもっと暴れてとか (笑)

 

Interview: The fin. >>Part.2

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