Interview: Masayoshi Fujita

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Masayoshi Fujita - photo by Alexander Schneider Photography 01_colour
(Photo by Alexander Schneider)


 
el fog名義でも繊細かつ実験的な音像の作品を発表しているベルリン拠点の音楽家Masayoshi Fujita。彼がÓlafur ArnaldsやNils Frahm、Peter Broderick等が所属するロンドンの名門〈Erased Tapes〉から昨年秋にリリースしたニュー・アルバム『Apologues』は、本名名義の作品としては2012年に〈flau〉からリリースしたファースト・アルバム『Stories』以来のフル・アルバムとなる。
Masayoshi Fujita名義は、el fogでもフィーチャーしているヴィブラフォン(マリンバや鉄琴に近い打楽器)にスポットを当てたプロジェクト。今回のアルバムも前作同様に柔らかく奥深いヴィブラフォンの音色が曲それぞれの物語を導くが、それを彩るチェロやフルート等によるアンサンブルも耳に留まる。
今回Public Rhythmでは、先日開催された3年ぶりとなるジャパン・ツアーの最中、四国に滞在していた彼に電話インタビューを実施。アルバムの話は勿論、ツアーや作品制作の裏側、今後の展望について伺った。

 

Interview: Masayoshi Fujita
(インタビュー, 文: 加納薫)

――Masayoshi Fujita名義でのファースト・アルバムとなった『Stories』(2013)以前からel fog名義で活動されていたわけですが、本名名義で活動するきっかけは何だったのでしょう?

Masayoshi Fujita: 最初はel fogとしての活動から始まり、ヴィブラフォンはサンプル的に使っていたのですが、次第に演奏にも慣れ、楽器自体への興味も高まってきたので、しっかり練習するようになり、曲も作り始めてみたんです。
ヴィブラフォン自体は演奏を始めて13、4年になるのかな。ベルリンに渡る少し前から始めて。その前はロック・バンドでドラムをやっていたんですが、最後の方はエレクトロニカをやっていました。

el fog – Mountain Dub | 『Reverberate Slowly』(2007)収録

 

――ドラムからヴィブラフォンに転向したきっかけは?

Masayoshi Fujita: まず自分で曲を作りたくなったというこのが理由の一つです。
当時エレクトロニカにはまって色々買って聴いてたりしていたのですが、ドラムだけではなかなか難しいなと。ヴィブラフォンの音自体は父親がよく聴いていたジャズのレコードで知っていたのですが、なかなか演奏している人が見つからず。そんな中、ジャズ・ドラマーの荷物運びをお手伝いする機会があったのですが、その方がヴィブラフォンの演奏家と共演する日があったんです。その演奏家さんとお話してみたらプライベート・レッスンをされていたので、それを受け始めたのがきっかけです。ちょうどその頃あまり自分にはドラムの才能がないなと感じていたのも理由の一つですね。そうやって色々な理由が重なったんです。

――もう随分ベルリンにお住まいですが、ベルリンは日本に比べてヴィブラフォンの演奏に適した環境と言えますか?

Masayoshi Fujita: はい、2006年からベルリンで暮らしています。やはり、まだまだ知名度がある楽器というわけではないので、ドイツでもヴィブラフォンを置いてあるスペースというのはほとんどありません。ですので、演奏する時は自分で持っていくか借りるかということになります。そういった点では日本とベルリンであまり違いはありませんね。

――そもそもベルリンに活動の拠点を移したきっかけは何だったのでしょう?

Masayoshi Fujita: 当時はまだアコースティックな作品は作っておらず、el fogとしてエレクトロニックやアンビエント、ダブっぽいイメージの音楽をやっていたわけですが、好きなアーティストやレーベルがベルリンを拠点にしていることが多かったこともあり、音楽の為に移ろうと決めました。

――ベルリンで活動されていたアーティストというと、AOKI takamasaさん(2011年に帰国)もそうでしたね。

Masayoshi Fujita: そうですね、AOKIくんは後でパリから移ってきて。それこそel fogの2枚目を出す時にはミキシングを手伝ってくれたり、ジャケットやアーティスト写真も撮ってくれました。

――今回のアルバムや前作『Stories』にも日本人の音楽家が参加されていますね。ベルリンには日本人の音楽家が比較的多くいらっしゃるのでしょうか?

Masayoshi Fujita: そんなに多いというわけでもないのですが、何人かベルリンで活動されている知人の音楽家がいるので今回もお願いしたという感じですね。

――今回のアルバムはいつごろから作り始めたのでしょう?

Masayoshi Fujita: 曲によって様々で、それこそ本名名義での曲を作り始めた頃のものもあります。「Knight and Spirit of Lake」は前作『Stories』を作り始めた頃よりも以前からありました。「Puppet’s Strange Dream Circus Band」もかなり古いですね。勿論『Stories』後に作った曲もあります。

――そうしたアイディアが貯まってきたので一つの作品にしようと?

Masayoshi Fujita: いつも曲のアイディアやストックはあるので、前作を出して一段落したら始めようとは考えていました。常に次の作品を作りたいという思いはありますし。

――『Apologues』というアルバム・タイトルは、日本語でいう「寓話」と解釈すればよいのでしょうか?

Masayoshi Fujita: 物語を通して道徳的な話を説くような意味がありますが、特にそういう意味を込めたくてつけたわけではないんです。結局、前作『Stories』とやっていることは同じで、曲を通して背景にある物語、イメージや映像を聴いている人の中に想起させたいなという思いがありました。前作のタイトルがすごいニュートラルというか普遍的で良かったのですが、また同じタイトルを使うわけにもいかないので、レーベルのオーナーとも相談しながら決めました。

――『Apologues』には、1曲ごとに英語で短い物語を記したテキストがその日本語訳と共に封入されていますね。これは藤田さんが書かれたのですか?

Masayoshi Fujita: そうですね。曲作りは普段ヴィブラフォンを適当に弾いていてる時に「今のいいな」という風に気に入ったフレーズやコードを繰り返し弾いたり、スケッチとしてレコーディングしたものをきっかけにスタートするのですが、その時点で曲のイメージや絵、景色のようなものを自分の中で持っていることが多いです。それらが曲を膨らませていくに従って段々広がっていき、物語になります。コンサートでもそうしたストーリーや情景を説明しながら演奏するので、今回のアルバムでもやってみました。日本語のテキストを入れたのはレーベル側のアイディアですね。

――物語やイメージが曲作りに先行して出来上がることはありますか?

Masayoshi Fujita: 最初の音からイメージが湧いていき、音楽と物語が一緒に出来上がっていく感じですね。物語を先に書いて曲を作り始めるということはないです。

――el fogとして曲作りをする際もそうした物語はイメージとしてあるのですか?

Masayoshi Fujita: Masayoshi Fujitaとしてやっている音楽より明確ではないのですが、世界観や雰囲気、情景といった根底にあるものは似ています。ただel fogは曲ごとにイメージを付けようということはあまりないですね。

――やはりそれは明確なメロディの有無であったり、抽象性が関係しているのでしょうか。

Masayoshi Fujita: そうですね。曲作りの段階から違うという点も関係していると思います。el fogはサンプルベースの音楽の派生という意識でやっていて。例えば音の編集やエフェクトで出来る面白さ、ビート、ベースラインですね。そうした音楽的な面白さにもイメージや物語と同じくらい比重があると思います。

――el fogとMasayoshi Fujita名義では、楽曲制作において手法であったり意識する点も違うということでしょうか?

Masayoshi Fujita: はい。el fogは編集やエフェクトをかけるかであったり、よりミニマルだったり実験的なものという風に自分のなかで分けています。今やったらまた違うかも知れませんが。現時点ではコンピューターを使わないと出来ないことは本名名義ではやっていないと思います。

――Masayoshi Fujita名義の作品では特別なエフェクト処理はされていないんですね。

Masayoshi Fujita: はい。EQやリヴァーブのような調整以外には全く使用していないです。ヴィブラフォンに物を載っけてプリペアドみたいに音を変えるということはしますが。

――ヴィブラフォンでプリペアドというと具体的には? それこそHauschka*のような感じでしょうか。

(Hauschka ~ ドイツ・デュッセルドルフのピアニスト。ピアノに様々な細工を施し独特の音色を得るプリペアド奏法を用いた作品を数多く発表している。 ※参考動画)

Masayoshi Fujita: そうですね、例えばビーズのチェーンやアルミホイル、手ぬぐい等を載せてみたり。あと、弓で弾いてみたりもしますね。

――ヴィブラフォンも弓で音が出せるんですね。

Masayoshi Fujita: 結構弓で弾ける楽器は多いです。ドラムのシンバルもそうですね。今回のアルバムだと「Requiem」や「Knight and Spirit of Lake」で弓とマレットを両方使って演奏しています。

 

Interview: Masayoshi Fujita >>Part.2
 
 


 
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