Interview: Masayoshi Fujita

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Masayoshi Fujita - photo by Alexander Schneider Photography 03_colour
(Photo by Alexander Schneider)

 
Interview: Masayoshi Fujita >>Part.1

 
――普段読んでいる物語や鑑賞したアートから影響を受けるということはありますか?

Masayoshi Fujita: そういうつもりで物語を読むということもあるんですが、物語自体にインスパイアされるということはあまりなくて。
例えばふとした景色や子供の頃育った茅ヶ崎の風景。あまり田舎ではないのですが、それでも自分の通った高校が山に囲まれてたり、鳶みたいな鳥が飛んでたり、川やちょっとした森、海があったりして。そういった原風景と昔見た物語や映画で見たイメージが混ざったものが、適当にヴィブラフォンを弾いている時にふっと湧いてきて、そこから曲作りが始まるということもありますね。

――そうやってふと子供の頃の風景を思い出すというのは、ベルリンで長年暮らされていることも影響しているのかもしれませんね。

Masayoshi Fujita: そうですね。なんとも言えないのですがそれもあるのかなと思います。離れてみて愛おしく思ったり、良さに気づいたりということもありますし。自分の育ったところや記憶が源になっているのかなって時折感じますね。

――『Apologues』のオープニングを飾る「Tears of Unicorn」は、ジブリ映画に登場する絵からインスパイアされたと伺いました。

Masayoshi Fujita: はい。『魔女の宅急便』のワンシーンでキキが森にぬいぐるみを落としてしまい、そこで絵描きの女の人と出会うのですが、その絵描きが描いた絵です。直接この絵からインスパイアされたというわけではないのですが、曲作り中に自分が抱えていたイメージやストーリーとその絵の世界観と近いなと思い、曲作り中にいつも頭にこの絵がよぎっていました。

Masayoshi Fujita – Tears of Unicorn (Vibraphone Version) | 『Apologues』(2015)収録

 
――今作では前作以上にストリングスの比重が増してきたように感じますが、これは意識的なことなのでしょうか?

Masayoshi Fujita: そうですね、前作はソロ曲がほとんどでしたが、その完成間近にストリングスを試してみたくなり「River」と「Story of Forest」という2曲にチェロとヴァイオリンを入れてみました。
その時の手応えもあり、アレンジもすごく楽しくやれたので、今回のアルバムでは曲作りの段階からストリングスや他のアレンジメントも意識していました。

――個人的には「Moonlight」のストリングスがとても好みです。

Masayoshi Fujita: 「Moonlight」はだいぶ悩みました。最初の頃とは随分アレンジが変わっていますね。他には「Swallow Flies High in the May Sky」は、コンサートで聴いたクラリネットの音色に惹かれて、春っぽい明るいイメージを意識しながら作り始めました。このアルバムではそうやって作った曲もあります。

Masayoshi Fujita – Moonlight | 『Apologues』(2015)収録

 
――ストリングス・アレンジの勉強はいつごろから?

Masayoshi Fujita: ちゃんと勉強したことはなくて手探りというか自己流ですね。ヴィブラフォンで作曲する時と同じなんですけど、(コンピューター上の)ソフトシンセでストリングス音源を適当に弾きながら手探りで考えています。

――例えばアルバムに参加された演奏家さんたちにアレンジについて相談するということはないのですか?

Masayoshi Fujita: 演奏して頂く時点で楽譜は100パーセント完成しているのでそうしたことはないですね。ここはこうして欲しいとか、こういう情景を意識してという指示を出すことはありますが。作った楽譜が生の楽器で(物理的に)演奏できるのかというアドバイスをもらったりすることはありますが、アレンジは自分で全てやっています。

――ベルリンではヴィブラフォンで他のバンドの方とセッションしたりという機会はありますか?

Masayoshi Fujita: たまに声がかかることもあるのですが、ジャズや理論をきちんと学んでこなかったこともあり、まともなセッションをするということはないですね。もっと実験的なプロジェクトでは、わりとコラボすることもありますが。例えばJan Jelinekとのプロジェクトもそうです。

――私も何年か前に彼が来日した際に京都で公演を見る機会があったのですが、やはりああいった抽象的な音楽の方があわせやすいということでしょうか。

Masayoshi Fujita: はい。音程や音階がある音楽は自分で時間をかけて練っていく方が好きだということもあります。ちなみにJanは京都がかなり気に入ったらしくてまた行きたいと言っていましたね。(笑)

――今回アルバムを〈Erased Tapes〉から出した経緯は?

Masayoshi Fujita: 何年か前にベルリンでNils Frahmのコンサートを見た時に〈Erased Tapes〉のオーナーのRobert(Robert Raths)と出会って、その後デモを送ったりもしたんです。今回のアルバムも送ったら気に入ってくれたのでリリースすることが出来ました。

Nils Frahm – Toilet Brushes – More (Live in London)

 
――Robertさんは今回のジャパン・ツアーにも同行されたんですよね。

Masayoshi Fujita: 彼もミーティングなどでずっと日本に来てみたかったらしく、今回一緒に車で回りました。彼が普段ロンドンに住んでいることもあり、これまであまりゆっくり話す機会がなかったので、このツアー中は色々と話すことが出来てよかったですね。

――Nils Frahmの他にレーベルメイトで好きなアーティストはいますか?

Masayoshi Fujita: Peter Broderickも物凄い才能がある人だと前から思っていますし、勿論他のアーティストたちも刺激になりますね。

――やはり音の傾向が自分にあっていると感じますか?

Masayoshi Fujita: 個別に見ていくと必ずしもそうではないのかもしれません。でも、系統は違うけどすごい面白い音楽を作っているなと感じる人もいます。レーベルとしていろんな事をやりつつも一貫性があるのが面白いなと思いますね。

 

(藤田さん側のSkypeから子供の声が聞こえる)

 
――AudioNewsRoomのインタビューでお子さんが自分の音楽を聴かないと仰られていましたが。

Masayoshi Fujita: はい。同じ部屋で弾いているとうるさいって言われたり。でも最近はちょっと大きくなったので聴けるようになってきたみたいです。僕の音楽がかかるとわかったり、コンサートを見てかっこいいって言ってくれたりします。

――いいですね。今回は家族もご一緒にこちらに来られているようですが、今後もベルリンで活動される予定ですか?

Masayoshi Fujita: 当面はベルリンのつもりです。でもゆくゆくは日本に帰りたいなとも考えていて。もし帰るとしたら何処に住みたいかという下見も今回のツアー中にしました。でもまだまだわからないですね。

――なるほど。このツアーが一段落したらまたMasayoshi Fujita名義の新作に取り掛かりますか?

Masayoshi Fujita: ベルリンに戻ってからもまだツアーや色んなプロジェクトがあるのですが、今年中には今あるアイディアや曲の種をブラッシュアップしたり、新しい曲に取り組んでみたいですね。

――el fogについてはどうですか? 昨年はAmetsubさんのレーベル〈Nothing66〉から出たアイスランドの電子音楽家Ozyのリミックスをされていましたね。

Masayoshi Fujita: はい。1曲リミックスさせてもらいました。Ametsubくんとはベルリンに移る直前、たしか福園くん(flau)経由で知り合って、それからちょくちょくコンタクトをとってます。日本に戻った時はライヴにも来てくれますね。
el fogもまたやりたいと思っているんですが、今はちょっと本名名義のリリースでバタバタしているのもありますし、次のアコースティックな作品のアイディアもあるのでもう少し時間はかかりそうですね。アイディア自体は色々録り溜めています。

Ozy – Alltaf Eins (el fog Remix)

 
――今回の日本でのツアーはいかがでしたか?

Masayoshi Fujita: 3年ぶりということもあるけど非常に面白かったですね。大きいところだけでなく今まで行ったことのない地方でも沢山演奏できましたし。

――やはり会場の大きさでだいぶヴィブラフォンの響きは変わりますか?

Masayoshi Fujita: そうですね。会場の大きさも勿論そうですし、天井の高さや会場の形によっても。アコースティックのみでやった会場も多かったので、色々試行錯誤しながらやりました。でも、各地ですごく素敵な場所でやらせてもらえたので楽しかったですね。音の響きがよい所も多かったですし。

――作品作りは勿論これからも続けられるわけですが、ミュージシャンとして今後何か具体的な目標はありますか?

Masayoshi Fujita: 目標というかどこかの山というか自然の中にスタジオを構えて曲作りをしたいなという夢はあります。それが日本なのかはまだわかりませんが、そこを拠点にして世界中に演奏しに出て行きたいですね。


 
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