新たな表現の可能性を追求する映像と音楽の祭典「VRDG+H」第3回公演を振り返る

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VRDGH3

 
 
Photo by 林響太朗
Text by 加納薫

HIP LAND MUSICが新たに立ち上げたクリエイティブ・ディビジョン「INT」、そしてオーディオビジュアル表現のプラットフォーム「BRDG」がコラボして企画・開催する映像と音楽による新しい表現を追求したイベント「VRDG+H」。その第3回公演が「山の日」である8月11日(木曜・祝日)に横浜のDMM VR THEATERにて開催された。
初の昼夜2部制での開催となったが、過去2回の公演がいずれもソールドアウトしてきたイベントだけに、各部ともに客席は大勢の観客で溢れかえった。会場のDMM VR THEATERは、昨年9月にオープンしたばかりの施設で、大型のLEDヴィジョン、シースルー投影、3DCGアニメーション技術など最新のテクノロジーを駆使した世界初の3DCGライヴホログラフィック劇場。9.1chサラウンドシステムを採用した音響、ステージ前面と後面に配されたスクリーンの奥行を活かした表現により、次々と繰り出される映像は実際にそこに存在しているかのようなリアリティを観客に感じさせる。

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Kezzardrix × Ray Kunimoto

 

この日最初に登場したのは、以前はインディR&BデュオN.O.R.K.で活動していたサウンド・アーティストRay Kunimotoと、国内外様々なアーティストの映像を手掛けるKezzardrixのコンビ。Ray Kunimotoにとって、ソロ名義では初のライヴだったというこの日は、チェロのAkira Sato、ヴァイオリンのAnri Warashinaを迎えた3人編成でのセットで、クラシカルで叙情的な演奏を披露していた。3人の演奏に時折挿し込まれるグリッチーなノイズは映像演出と同期しており、バチバチとした閃光が空中を駆けるさまはとても迫力があった。それ以外にも、壁から紙がヒラヒラと剥がれ落ちるような柔らかで繊細な表現や、火球がステージ上の演者の周りを飛び回っているかのような躍動感のある表現、ステージ上の演者が大きな格子状球体に包まれているかのような表現などなど……このシアターの特性を存分に活かした変幻自在のパフォーマンスに最初から最後まで驚かされた。

 
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大橋史 with kazami suzuki x Tomggg ft. ボンジュール鈴木

 

続いて登場したのは大橋史 with kazami suzuki x Tomgggによるセット。盟友と呼べるほどコラボを重ねてきたコンビで、今年4月には〈BRDG〉から合作による抽象アニメーション「nakaniwa」を発表している。この日もその「nakaniwa」の世界観同様にとびきりポップでビビッドな色彩がステージに放たれ、その中をkazami suzukiによる可愛らしいキャラクター達が生き生きと跳ねていた。
音楽、映像ともに先ほどのRay Kunimoto × Kezzardrixのシリアスなパフォーマンスとは対照的で、思い切ったタイムテーブルだなと感じたが、それが「VRDG+H」のイベントとしての振り幅の広さ、自由度を観客に対して強く印象づけていたように思う。
後半のステージにはアニメ『ユリ熊嵐』のOPで一躍注目を集め、Tomgggが今春にリリースした新作『Art Nature』にも参加したミステリアスなシンガー・ソングライター、ボンジュール鈴木が登場。彼女がカラフルなステージの真ん中で、独特のウイスパー・ヴォイスを披露するさまは、さながらメルヘンアニメの一幕のようだった。

 
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Keijiro Takahashi × DUB-Russell

 

3組目に登場したのは「VRDG+H」皆勤賞のDUB-Russell。映像を担当したKeijiro Takahashi氏によれば、通常の映像制作とは趣向を変えて、「舞台装置」をテーマとしているそうだ。音と映像はOSC(演奏データをネットワークを通じて共有する為の通信プロトコル)によって完全に同期しており、今回の場合はキックとスネアのトリガーを拾って、物体の挙動制御に用いたという。
なお、DUB-Russellによると、今回のセットではアカペラをリアルタイムに加工しビートを組み立てていくというライヴ・リミックスに挑戦したという。プログラミングとライヴ感を両立させたステージ、DUB-Russellが鳴らす獰猛でソリッドな音と同期して、彫像や角錐型のオブジェクトなどが舞台上を鋭く移動、変化を繰り返していくさまは他の追随を許さない迫力があった。

 
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北千住デザイン × DE DE MOUSE

 

最後に登場したのは、夏祭りをテーマに制作した新作EP『summer twilight』を8月17日にリリースしたDE DE MOUSE。リリース直前だったこの日は、この時期らしい祭囃子や子供の歓声、そしてお家芸のあのオリエンタルなヴォーカル、時折叩きつけるようにアグレッシヴに猛るビートを駆使して、異形の祭りをステージで展開。それを北千住デザインによる数えきれない絵文字、そしてDE DE MOUSEの顔をモデリングし歪曲させた奇妙な映像が増幅させていた。DE DE MOUSEは過去のインタビューでAphex Twinを自身のルーツの一つにあげていたが、あの変態性にも通じるある意味でこの日一番挑戦的なステージだったように思う。

筆者はこの日がDMM VR THEATER、そして「VRDG+H」初体験。漠然と2012年の「Coachella Festival」で披露された故2Pacの”復活”パフォーマンス、あるいはかしこまったアカデミックなパフォーマンスを想像しながら臨んでいたのだが、蓋を開けてみると、それぞれが高度かつ異なるアプローチでステージを演出しているにも関わらず、観客を置き去りにしない良質なエンターテイメントに仕上がっていると感じた。
今後も観客は勿論出演アーティストにとっても他では得られない新たな表現の可能性に触れられる場となるであろう「VRDG+H」、是非一度実際に体験してみてほしい。

『VRDG+H #3』
開催日:8月11日 (木・祝)
会場:DMM VR THEATER
主催:HIP LAND MUSIC CORPORATION
企画・制作:HIP LAND MUSIC CORPORATION / BRDG
協力:DMM.futureworks
出演:
北千住デザイン × DE DE MOUSE
大橋史 with kazami suzuki x Tomggg ft. ボンジュール鈴木
Kezzardrix × Ray Kunimoto
Keijiro Takahashi × DUB-Russell

Total Info
[Event WEB] http://www.hipland.co.jp/vrdgh/
[HIP LAND MUSIC WEB] http://www.hipland.co.jp/

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