Interview: Robert Raths (Erased Tapes)

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+Pin on PinterestShare on TumblrEmail this to someoneBuffer this pagePrint this pageShare on VKShare on RedditFlattr the authorDigg thisShare on LinkedInShare on YummlyShare on StumbleUpon

ロンドンを拠点とするレーベル 〈Erased Tapes〉は、2007年の設立以来Ólafur ArnaldsやNils Frahm、Peter Broderickを始めとする才能溢れるアーティストの作品をリリースし、近年のアンビエント〜エレクトロニカ/エクスペリメンタルミュージック・シーンにおいて大きな存在感を示してきました。Masayoshi Fujitaやworld’s end girlfriendといった日本人アーティストの作品も扱うこのレーベルのオーナーRobert Rathsは、年に何度も日本を訪れる親日家でもあります。
今回Public Rhythmは、3月にちょうどプライベートで日本に遊びに来ていたRobertさんにインタビューをおこない、これまでのレーベルの歩みやこれからの計画について伺いました。

 

━よろしくお願いします。今回の来日は何か目的があるのですか?

ガールフレンドに会いに来たんだ!あとご飯も美味しいしね(笑)

━なるほど(笑) では、まずは〈Erased Tapes〉の成り立ちについて教えてください。レーベル設立前はどのような活動をしていましたか?

建築の勉強をしてた頃はアコースティックなスペースにフォーカスを当てていたけど、ロンドンに移ってからは実験的なサウンドの追求にも取り組んでいたよ。
元々はアーティスト・コレクティヴみたいなものを作りたくて、デザインやコンセプトを考えている頃に、Myspaceで色んな音楽を掘っていたんだ。あの頃はMyspaceっていうのは本当に画期的で、好きな音楽を見つけるとその友達伝いにどんどん新しい音楽を見つけることが出来たからね。
今〈Erased Tapes〉に所属しているアーティストもMyspaceがきっかけで知り合った人たちが多いよ。

━〈Erased Tapes〉という名前の由来は?

10代の頃に学校や教会で音作りをしていたんだけど、やっぱりエレキギターの音はうるさいと言われるから、アコースティックなサウンドを録ろうとしたことがあるんだ。それが本当にいいテイクだったんだけど、残念ながら間違えて消してしまってね……でも、その時の感覚や思い入れは自分にとってとても重要なものだったんだ。

━この10年の間に特に印象的だった出来事はありますか?

全ての瞬間が大切なんだ。例えばBBC Promsで5000人の観客がいるのにそれがまるでリビングルームのように親密な空間だった時。
 

 

例えばペンギンカフェのアーサーさんに会えた時。勿論新しいアーティストに出会えた時も。
 

 

そして、最近イーストロンドンにErased Tapes Sound Gallery(住所:174 Victoria Park Road, London E9)を建てたことだね。
 

━レーベルとして大変だった時期はありますか?

レーベルとしての価値観が合わない時かな。単にお金のために近づいてくる人との意見の衝突だったり音楽をアートの域にまで昇華させることが難しい時はとても苦しく感じるね。

━先程も話題に出たサウンド・ギャラリーについて詳しくお聞かせください。

元々建築家だからね。案外自分のそういう面は周りにも知られていなかったから、本当に自分がやりたいことを音楽と建築の両方から表現できて満足だったよ。ギャラリーでは日本のsonihouseのスピーカーも使っているんだ。
ライヴであの12面体スピーカーを知ってこれはヤバイ!って思ってね。それで紹介してもらったんだ。一番いい投資だったと思うよ。あのスピーカーを使うと単に右と左からではなく立体的に音が聴こえてくるから、観客はギャラリーのどの位置にいても同じ体験ができるわけだからね。

━レーベル・オーナーとして普段どんな業務をされていますか?

毎日が目まぐるしくて一概にはいえないな。
サウンド・ギャラリーはオフィスでもありワークショップでもありスタジオでもあるしね。とにかく毎日音楽、レーベル、アーティストのために色んなことをしているよ。

━こうしてプライベートでもよく日本を訪れているようですが、あなたと日本の関係は深いですよね。

いい質問。〈Erased Tapes〉としては、これまでにworld’s end girlfriendとMasayoshi Fujitaの作品をリリースしている。
僕は日本の音楽を愛している。10代の時、自分をワクワクさせる音楽が無くなってしまっていた。退屈していたというか。いろんな種類の音楽を聞いて育ったから。父親はソウルが好きだったし、母親はポップやロックが好きだった。ドイツで育ったからやっぱりテクノに夢中になったし、クラシック音楽も愛していた。ごった煮という感じだった。ある地点で、誰も自分たちの限界を超えようとしていない気がした。そこで日本の音楽に出会ったんだ。
例えばYMOとかね。正直言うと最初はKraftwerkの劣化版と思っていたんだけど、聞き続けるうちに面白いと感じるようになった。Ryuichi Sakamotoの現代クラシック音楽のキャリアとかもね。
そして、僕に多大な影響を与えた最初のミュージシャンは、私の故郷であるドイツのケルンで最も有名なバンドであるCanに参加していたダモ鈴木さん。彼が参加したアルバム『Tago Mago』も僕に大きな影響を与えた作品だし、ダモさんがCanのライヴショーにもたらした予測不可能性と直感的なエネルギーが特に好きだった。勿論当時のライヴを直接目にしたわけではないけれど、当時WDRで放送されたテレビ番組Rockpalastを見るたびに刺激を与えられたよ。

コーネリアスにも大きなインスピレーションを与えられたし、あとはworld’s end girlfriendを発見した時だ。 とてもワクワクしたのを覚えてる。
いろんな人が「なぜworld’s end girlfriendを?」と聞いてきたよ。〈Erased Tapes〉の特色である静かで沈黙のサウンドととても違うって。でも耳を澄ましてほしい。世界は一つじゃないんだから。ただ一つのことだけをするレーベルにはしたくなかった。そんなの面白くないことだけをするレーベルにはしたくなかった。そんなの面白くない。人生は美しくカラフルで『Seven Idiots』というアルバムは素晴らしい作品だよ。前田さんは未来と呼べるものを見せてくれた。
どこにフィットしなくても、誰かを喜ばせられなくても、そんなことどうでもいい。レーベルとして一つの物語を伝えなければならないし、それは生き生きとしてダイナミックでなければならない。クレイジーで静けさがある日本のミュージックはそれをいつも満たしてくれる。はっぴいえんどなんかも、日本のそういう捉え方が好き。生き生きとしていて、リスクを恐れなく、勇敢。だからworld’s end girlfriendやmasayoshi Fujitaはその点で僕の好きな日本らしさのかなり幅広い領域をカバーしている。いや、それだけじゃないんだけど。

コーネリアスとPenguin Cafeの新作リリースはとても楽しみにしているよ。4/22のレコードストアデイでリリースされる。僕にとって、終わりの始まりのようなもので、とても大事な作品になる。Penguin Cafeと一緒に仕事をできるとは思っていなかったし、もちろんコーネリアスとも。彼ら二人が揃うのなんてゴジラとなんかの怪物が出会ったみたいだよ。びっくりさ。僕の中の少年がわーって叫んでる。人生って素晴らしいし美しいね。一曲はPenguin Cafeのコーネリアスリミックス。もう一曲はコーネリアスのPenguin Cafeリミックス。甲乙つけがたい、両方とも素晴らしいから。Englishチェンバーミュージックの世界とクレイジーなエレクトロガイの出会い。そう、だから日本の音楽を愛しているんだ。

━他に今注目している日本のアーティストはいますか?

Masayoshiと一緒にツアーした時にいろんな日本のアンダーグラウンドミュージックを発見した。ハチスノイトって聞いたことある?
僕にとって日本の音楽はただエキストリームなだけじゃなくって。沈黙が文化の一部として存在していることが好きなんだ。沈黙を常に理解しながら生きている。僕の生まれ育った世界では沈黙を探すのがとても難しい。人々はそれをないがしろにしている。沈黙を大事にできていない。

Masayoshiはいい例だと思う。彼の音楽の平静のバランスは素晴らしい。日本の音楽で、それと同じくらい感じるのは、全部が全部かけ離れてはいないということ。他の国々では全てのものがはっきり分かれている。例えば、Masayoshiはel fogとしてダブミュージックをやっていて、とても多様な人物だ。僕らはみんな多様性がある。でも商業的な世界では、人々はその多様性を隠す。理解されないと思っているから。日本のアーティストで好きなのは、そんなこと気にしないということ。例えばRyuichi SkaamotoはYMOもやったけれど、他にもいろいろな活動をしている。何をしたっていいんだ。それを僕はとても尊敬するし、そのほうがもっとリアルなんだと思う。

━今後の予定について。

この10年でレーベルとして自分がやりたいことをできたと思うから、これからもそれを貫きたいと思う。サウンド・ギャラリーにも力を入れてもっとオープンな展開をしたいね。まだ詳しくは言えないんだけど日本でも色々とプランがあるんだ。

 
━直近のリリースについても教えてください。

ちょうどIRISというサウンドトラックをリリースしたところで、Daniel Brandt(Brandt Brauer Frick)の新作を出す。彼はドラマーで素晴らしいデビューアルバムをリリースするんだけど、そこで演奏される楽器のほとんどは彼は初めて触ったものなんだ。ギターやピアノへのアプローチがとてもナイーブで、だけどとってもパーカッシブで繰り返しが多い。すごく楽しみ。NilsやPeterがクラシック音楽に対してやっているように、彼もロックミュージックで境界線を超える試みをしている。World’s End Girlfriendも同じだね。Future Rock。僕にしてみるとスティーブライヒがフガジやマーズボルタのエネルギーを持ったような感じ。とても肉体的で、他にはないアルバム。最高だね。

そしてAllred & Broderick。これもまたとても楽しみにしてるよ。僕にとって彼らは現代のサイモンアンドガーファンクルのような存在。子供の時S&Bは大好きだった。素晴らしいデュオだね。PeterとDavidも。彼らはバイオリンとダブルベース、二つの声だけという制限を自分たちに課した。それだけだよ。
でもアルバムを通して彼らがやってみせたことはほんとうに素晴らしい。僕のお気に入りは「Wild One」という曲で、まるでメタルのような曲なんだ。どんどん大きくなっていく。ドラムやエレキはなし。メタルのような感覚があって、それがチャンバー楽器と声だけで成せるなんてすごいよ。僕らはボーカルものを扱うレーベルとしてはあまり知られてないんだけど、Peterの作品を取り扱うワケは、彼は何か言いたいことがあるから。彼のボーカルの扱い方はまるで楽器のよう。でも今回は二人一緒。Davidはまだ若いんだけど、僕もPeterもDavidの深い考え方にはいつも言葉を失うよ。
特にBrexit、日本の総理、トランプなど、今政治的に世界は変わり目を迎え、あらゆる恐怖や誤解を引き起こしている。だから彼の言葉はとても心に響くんだ。彼の言葉を聞くと僕らは一体の存在で、もっとお互いを知らなければならないと気づかされる。まるで60年代にサイモンアンドガーファンクルがピースムーヴメントでそれをしたようにね。PeterとDavidはまさに今の時代のサイモンアンドガーファンクルだよ。

 

取材: 加納薫
通訳: 手島智 (lights and music)

 

こちらの記事ではインタビュー後にRobertさんが使い捨てカメラで撮った日本を紹介中。

 


 
Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+Pin on PinterestShare on TumblrEmail this to someoneBuffer this pagePrint this pageShare on VKShare on RedditFlattr the authorDigg thisShare on LinkedInShare on YummlyShare on StumbleUpon